2024年9月現在、小泉進次郎氏は43歳です。
総裁選に出馬し、党内や党員の支持も上位3名に入っていますが、その若さや発言内容から「経験不足では」と指摘されることも多いようです。
確かに日本では、あまり若いリーダーが出てくることはありませんが、はたして他の国ではどうでしょうか。
若いからといって本当に不利なのでしょうか?各国の若いリーダーと簡単に比較してみたいと思います。
各国歴代リーダーと就任時の年齢(第二次世界大戦以降)
アメリカ・イギリス・日本それぞれの戦後リーダーの年齢を調べてみました。
歴代アメリカ大統領
名前 | 政党 | 就任年 | 就任時の年齢 |
ハリー・S・トルーマン | 民主党 | 1945年 | 60歳 |
ドワイト・D・アイゼンハワー | 共和党 | 1953年 | 62歳 |
ジョン・F・ケネディ | 民主党 | 1961年 | 43歳 |
リンドン・B・ジョンソン | 民主党 | 1963年 | 55歳 |
リチャード・ニクソン | 共和党 | 1969年 | 56歳 |
ジェラルド・R・フォード | 共和党 | 1974年 | 61歳 |
ジミー・カーター | 民主党 | 1977年 | 52歳 |
ロナルド・レーガン | 共和党 | 1981年 | 69歳 |
ジョージ・H・W・ブッシュ | 共和党 | 1989年 | 64歳 |
ビル・クリントン | 民主党 | 1993年 | 46歳 |
ジョージ・W・ブッシュ | 共和党 | 2001年 | 54歳 |
バラク・オバマ | 民主党 | 2009年 | 47歳 |
ドナルド・トランプ | 共和党 | 2017年 | 70歳 |
ジョー・バイデン | 民主党 | 2021年 | 78歳 |
| | 平均 | 58.4 |
| | 最大 | 78 |
| | 最小 | 43 |
歴代イギリス首相
名前 | 政党 | 就任年 | 就任時の年齢 |
クレメント・アトリー | 労働党 | 1945年 | 62歳 |
ウィンストン・チャーチル | 保守党 | 1951年 | 76歳 |
アンソニー・イーデン | 保守党 | 1955年 | 57歳 |
ハロルド・マクミラン | 保守党 | 1957年 | 63歳 |
アレック・ダグラス=ヒューム | 保守党 | 1963年 | 60歳 |
ハロルド・ウィルソン | 労働党 | 1964年 | 48歳 |
エドワード・ヒース | 保守党 | 1970年 | 54歳 |
ハロルド・ウィルソン(2回目) | 労働党 | 1974年 | 57歳 |
ジェームズ・キャラハン | 労働党 | 1976年 | 64歳 |
マーガレット・サッチャー | 保守党 | 1979年 | 53歳 |
ジョン・メージャー | 保守党 | 1990年 | 47歳 |
トニー・ブレア | 労働党 | 1997年 | 43歳 |
ゴードン・ブラウン | 労働党 | 2007年 | 56歳 |
デーヴィッド・キャメロン | 保守党 | 2010年 | 43歳 |
テリーザ・メイ | 保守党 | 2016年 | 59歳 |
ボリス・ジョンソン | 保守党 | 2019年 | 55歳 |
リシ・スナク | 保守党 | 2022年 | 42歳 |
| | 平均 | 55.2 |
| | 最大 | 76 |
| | 最小 | 42 |
歴代日本首相
名前 | 政党 | 就任年 | 就任時の年齢 |
東久邇宮稔彦王 | 無所属 | 1945年 | 58歳 |
幣原喜重郎 | 無所属 | 1945年 | 73歳 |
吉田茂 | 日本自由党 | 1946年 | 67歳 |
片山哲 | 日本社会党 | 1947年 | 64歳 |
芦田均 | 民主党 | 1948年 | 65歳 |
吉田茂(2回目) | 自由党 | 1948年 | 69歳 |
吉田茂(3回目) | 自由党 | 1950年 | 71歳 |
吉田茂(4回目) | 自由党 | 1952年 | 74歳 |
吉田茂(5回目) | 自由党 | 1953年 | 75歳 |
鳩山一郎 | 自由民主党 | 1954年 | 72歳 |
石橋湛山 | 自由民主党 | 1956年 | 72歳 |
岸信介 | 自由民主党 | 1957年 | 60歳 |
池田勇人 | 自由民主党 | 1960年 | 59歳 |
佐藤栄作 | 自由民主党 | 1964年 | 63歳 |
田中角栄 | 自由民主党 | 1972年 | 54歳 |
三木武夫 | 自由民主党 | 1974年 | 67歳 |
福田赳夫 | 自由民主党 | 1976年 | 71歳 |
大平正芳 | 自由民主党 | 1978年 | 68歳 |
鈴木善幸 | 自由民主党 | 1980年 | 68歳 |
中曽根康弘 | 自由民主党 | 1982年 | 64歳 |
竹下登 | 自由民主党 | 1987年 | 63歳 |
宇野宗佑 | 自由民主党 | 1989年 | 67歳 |
海部俊樹 | 自由民主党 | 1989年 | 58歳 |
宮澤喜一 | 自由民主党 | 1991年 | 72歳 |
細川護熙 | 日本新党 | 1993年 | 55歳 |
羽田孜 | 新生党 | 1994年 | 58歳 |
村山富市 | 日本社会党 | 1994年 | 70歳 |
橋本龍太郎 | 自由民主党 | 1996年 | 58歳 |
小渕恵三 | 自由民主党 | 1998年 | 61歳 |
森喜朗 | 自由民主党 | 2000年 | 62歳 |
小泉純一郎 | 自由民主党 | 2001年 | 59歳 |
安倍晋三 | 自由民主党 | 2006年 | 52歳 |
福田康夫 | 自由民主党 | 2007年 | 71歳 |
麻生太郎 | 自由民主党 | 2008年 | 68歳 |
鳩山由紀夫 | 民主党 | 2009年 | 62歳 |
菅直人 | 民主党 | 2010年 | 63歳 |
野田佳彦 | 民主党 | 2011年 | 54歳 |
安倍晋三(2回目) | 自由民主党 | 2012年 | 58歳 |
菅義偉 | 自由民主党 | 2020年 | 71歳 |
岸田文雄 | 自由民主党 | 2021年 | 64歳 |
| | 平均 | 64.5 |
| | 最大 | 75 |
| | 最小 | 52 |
年齢の最大・最小・平均、戦後の人数をまとめると以下の通り。
| 最大 | 最小 | 平均 | 人数※ |
アメリカ | 78 | 43 | 58.4 | 14 |
イギリス | 76 | 42 | 55.2 | 16 |
日本 | 75 | 52 | 64.5 | 35 |
※同一人物の2回目以降除く | | | | |
・最も高い年齢ではアメリカ・イギリスの方が若干高い
・最も低い年齢ではアメリカ・イギリスが日本より9〜10年若い
・平均年齢ではアメリカ・イギリスが日本より6〜10年若い
・年齢よりも、同一期間の人数では、日本はアメリカ・イギリスの約2倍というのが気になりますね。
各国歴代の若いリーダーの経歴
続いて、今回の総裁選で最も若い小泉進次郎氏と、アメリカ・イギリスそれぞれの若きリーダーの経歴を比較してみました。
項目 | 小泉進次郎 | ジョン・F・ケネディ | リシ・スナク |
両親の職業 | 父:小泉純一郎(元内閣総理大臣) 母:小泉宮子(専業主婦) | 父:ジョセフ・P・ケネディ(実業家・外交官) 母:ローズ・フィッツジェラルド・ケネディ(政治家の娘) | 父:ヤシュビール・スナク(医師) 母:ウシャ・スナク(薬剤師、起業家) |
学歴 | 関東学院大学経済学部卒業 コロンビア大学国際公共政策大学院修了 | ハーバード大学卒業 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(短期間留学) | オックスフォード大学哲学・政治・経済学部(PPE)卒業 スタンフォード大学MBA修了 |
卒業から政治家になるまでの経歴 | コロンビア大学修了後、米国のシンクタンク「CSIS」研究員 | 海軍に従軍し第二次世界大戦に参加 ジャーナリストとして働く | ゴールドマン・サックスで投資銀行業務 ヘッジファンド「Theleme Partners」共同設立 |
政治活動スタート年(年齢) | 2009年(28歳) 第45回衆議院議員総選挙に神奈川県第11区から立候補し、初当選 | 1946年(29歳) マサチューセッツ州第11選挙区から立候補し、初当選 | 2015年(35歳) イギリス総選挙でリッチモンド選挙区から立候補し、初当選 |
政治家としての職務と実績 | 自由民主党政務調査会副会長 環境大臣(2019年-2021年) 福島復興担当大臣 | 第35代アメリカ合衆国大統領(1961年-1963年) 大統領就任時の年齢:43歳 「ニューフロンティア」政策推進 キューバ危機の対応 | イギリス首相(2022年-) 首相就任時の年齢:42歳 元財務大臣 経済政策の立て直しに取り組む |
主な成果 | 環境大臣としてプラスチックごみ削減政策を推進 福島復興支援に注力 | キューバ危機での冷戦回避 アポロ計画の推進 市民権運動の促進 | コロナ対策として大規模な経済支援策を実施 コスト・オブ・リビング危機への対応策推進 |
スキャンダル | 結婚発表直前の不倫疑惑報道が話題に 政策に関しては「中身がない」と批判されることも | 私生活の浮名が多く報道された 弟ロバートのマフィアとの関係が取り沙汰される | パーティーゲート(コロナ禍での首相官邸でのパーティー疑惑) リッチなライフスタイルと庶民感覚のギャップが批判される |
その他世間の注目を集めたエピソード | 滝川クリステルとの結婚が大きな話題に 発言の「ポエム」スタイルが注目を集めた | 暗殺によってアメリカ史に残る象徴的な存在 「ケネディ家の呪い」として一家の運命が話題に | インド系移民の家系から初のイギリス首相となり話題 若くして首相になったことで注目される |
こうしてみると、年齢や経歴が必ずしもハードルになるとは限らないと言えるのではないでしょうか。
もちろん、お国柄やその時の状況によるとは思いますが、年齢や経歴のハンデを覆すほどの、選ばれる理由があったということかもしれません。
総裁選立候補者有力3氏の経歴
同様に、2024自民党総裁戦で、9/18現在支持が多いとされる3氏の経歴を比較してみました。
項目 | 小泉進次郎 | 石破茂 | 高市早苗 |
両親の職業 | 父:小泉純一郎(元内閣総理大臣) 母:小泉宮子(専業主婦) | 父:石破二朗(元鳥取県知事、元衆議院議員) 母:専業主婦 | 父:高市鉄男(会社員) 母:専業主婦 |
学歴 | 関東学院大学経済学部卒業 コロンビア大学国際公共政策大学院修了 | 慶應義塾大学法学部卒業 三井銀行勤務後、法政大学卒業 | 神戸大学経営学部卒業 法政大学大学院修了 |
卒業から政治家になるまでの経歴 | コロンビア大学修了後、米国のシンクタンク「CSIS」研究員 | 三井銀行勤務後、政界入りのため法政大学卒業 | 松下政経塾出身 衆議院議員秘書、関西テレビアナウンサーを経て政界入り |
政治活動スタート年(年齢) | 2009年(28歳) 第45回衆議院議員総選挙に神奈川県第11区から立候補し、初当選 | 1986年(29歳) 第38回衆議院議員総選挙に鳥取県全県区から立候補し、初当選 | 1993年(32歳) 第40回衆議院議員総選挙に奈良県第1区から立候補し、初当選 |
政治家としての職務と実績 | 自由民主党政務調査会副会長 環境大臣(2019年-2021年) 福島復興担当大臣 | 自民党幹事長 防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣 自民党総務会長 | 総務大臣(2006年、2012年、2020年) 経済産業副大臣 自由民主党政務調査会長 |
主な成果 | 環境大臣としてプラスチックごみ削減政策を推進 福島復興支援に注力 | 防衛大臣として集団的自衛権の議論に取り組む 農業政策の改革を推進 | 総務大臣として地方創生やマイナンバー制度の導入を推進 経済産業政策にも貢献 |
スキャンダル等 | 結婚発表直前の不倫疑惑報道が話題に 政策に関しては「中身がない」と批判されることも | 防衛大臣時代に自衛隊の活動に関して一部で批判を受けた 党内の対立で注目されることもある | 野党時代に靖国神社参拝を繰り返し、中国や韓国から批判を受けた 財務問題に関する議論でも物議を醸した |
その他世間の注目を集めたエピソード | 滝川クリステルとの結婚が大きな話題に 発言の「ポエム」スタイルが注目を集めた | 「石破4条件」として農業や防衛政策で影響力を発揮 総理候補として何度も名前が挙がるも党内支持が少ない | 保守的な発言や立場で注目を集める 初の女性総理候補としても注目される |
こちらはいかがでしたか?
経歴を見ると、閣僚や党のある程度重要なポジションを経験した石破氏・高市氏が目立つようです。しかも、経済や防衛といった、日本の重要課題であり、日本の国民が国に最も強化を期待する分野とくれば、なおさらです。
それでも小泉氏が支持を集めていることには、何か理由があるのだと思いますが、皆さんはどう思いますか?
ちなみに、小泉純一郎元首相は進次郎氏に関するTVの取材に対して、「総理になんかならない方がいいのにね」と言っていました。発言の真意は分かりませんが、いったいこの国はどんな考えでリーダー(候補)を選んでいるのでしょうか・・・。
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