討論会の様子
日本時間の9月11日、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領によるテレビ討論会が行われました。
両氏の初の直接対決となります。
主に以下のテーマで討論が行われましたが、互いにこれまでの政策などを非難することが多い印象でした。
- 経済について
- 中絶問題について
- 移民問題について
- トランプ氏暗殺未遂について
- 相手の「嘘」について
- 連邦議会議事堂襲撃事件について
- 関税について
- 「プロジェクト2025」について
討論の「勝敗」については意見が分かれていますが、ハリス氏側は相当手応えを感じたのか、二回目の討論を希望しているようです。トランプ氏はそれに対して積極的な反応はしていないようです。
それでは両氏の簡単な経歴等を紹介します。
両氏の経歴・主な実績など
概要
- トランプ氏は、ビジネスマン出身の大統領として、経済政策や「アメリカ第一主義」の外交政策で知られています。政治経験がほとんどない状態で大統領となり、従来の政治手法とは異なるスタイルで議論を巻き起こしました。
- ハリス氏は、法律のバックグラウンドを持ち、女性やマイノリティの権利を代表する存在です。副大統領として、歴史的な役割を果たしつつ、気候変動や移民問題などの政策に取り組んでいます。
ドナルド・トランプ氏の経歴・実績・家族
1. 初期の経歴
- 生年月日: 1946年6月14日(78歳)
- 出身地: ニューヨーク市
- トランプ氏は、不動産業を営むフレッド・トランプの息子として生まれました。ペンシルバニア大学のウォートンスクールで経済学を専攻し、1968年に卒業しました。
2. ビジネスキャリア
- トランプ氏は父親の不動産業に加わり、マンハッタンでの高層ビルやホテルの開発を手掛けました。彼が関与した代表的なプロジェクトには「トランプ・タワー」や「トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー」などがあります。
- 彼は不動産事業だけでなく、トランプ大学、トランプワイン、ゴルフリゾートなど多岐にわたるビジネスを展開しました。
- 一方で、いくつかの事業は破産法の適用を受けたこともあり、ビジネス手法に対する批判もありました。
3. メディアとエンターテイメント
- トランプ氏はリアリティ番組『アプレンティス(The Apprentice)』のホストとしても有名で、これにより大衆の認知度を高めました。この番組は彼の強いビジネスパーソナリティを際立たせ、彼の「You’re fired!(お前はクビだ!)」という決め台詞が人気を博しました。
4. 政治キャリア
- 2016年アメリカ合衆国大統領選挙: トランプ氏は共和党から出馬し、現職大統領のバラク・オバマの後任を目指しました。彼は反エスタブリッシュメント※的な立場から選挙運動を行い、クリントン元国務長官を破って大統領に選出されました。
※エスタブリッシュメント:社会的・政治的・経済的に確立された体制・支配階級を指す。このような討論では「俺たちのことを何もわかっちゃいないおエライさんが勝手に決めたルールなんて」のようなニュアンスで用いられているような印象(筆者の意訳。反エスタブリッシュは庶民に寄り添うアピールか?)。 - 大統領任期(2017年-2021年):
- 経済政策: トランプ氏は減税政策を推進し、企業税率の引き下げなどを実施しました。アメリカ経済は彼の任期中、好調な局面もありましたが、2020年の新型コロナウイルスによる経済停滞も経験しました。
- 外交政策: 彼は「アメリカ第一主義」を掲げ、国際貿易に関しては中国との貿易戦争を繰り広げ、また、NATOやパリ協定からの離脱を表明しました。
- 国内政策: メキシコとの国境に壁を建設することを主張し、移民政策を厳格化しました。また、連邦最高裁判所に3人の保守派判事を任命したことも大きな功績とされています。
5. 2020年大統領選挙後
- トランプ氏は2020年の選挙でジョー・バイデン氏に敗北しましたが、選挙結果に異議を唱え、その後の議会襲撃事件につながる議論を引き起こしました。
6. 家族
- 妻 メラニア・トランプ(旧姓クラウス) 職業:モデル 三人目の妻
- 子 ドナルド・トランプ・ジュニア、ティファニー・トランプ、バロン・トランプ
- 孫 10人
カマラ・ハリス氏の経歴・実績・家族
1. 初期の経歴
- 生年月日: 1964年10月20日(59歳)
- 出身地: カリフォルニア州オークランド
- ハリス氏はジャマイカ系の父親とインド系の母親の間に生まれました。ハワード大学で政治学と経済学を専攻し、その後、カリフォルニア大学ハスティングズ法学部で法学博士号を取得しました。
2. 法律キャリア
- 地方検事補: サンフランシスコ地方検事局に勤務し、刑事事件を担当しました。
- サンフランシスコ地方検事: 2003年、サンフランシスコの地方検事に選出され、警察の活動を監視するためのプログラムを導入するなど、司法改革を推進しました。
- カリフォルニア州司法長官(2011年-2017年): 彼女はカリフォルニア州初の女性および非白人の司法長官となり、環境問題、犯罪防止、結婚平等、消費者保護などの分野で活動しました。
3. 政治キャリア
- カリフォルニア州上院議員(2017年-2021年): ハリス氏は2016年にカリフォルニア州選出の上院議員に当選し、移民、司法改革、健康保険、気候変動などの問題に積極的に取り組みました。
- 2020年アメリカ合衆国大統領選挙: ハリス氏は民主党の大統領候補として指名を目指しましたが、途中で撤退しました。その後、ジョー・バイデン氏の副大統領候補に選ばれました。
4. 副大統領(2021年-現在)
- 2020年の大統領選挙でバイデン氏とともに勝利し、2021年にアメリカ合衆国の副大統領に就任しました。ハリス氏はアメリカ初の女性、副大統領であり、また初の非白人の副大統領として歴史的な位置を占めています。
- 副大統領としての業績: ハリス氏はバイデン政権内で移民問題、気候変動、ジェンダー平等、選挙権保護などの課題に取り組んでいます。彼女の役割は副大統領としての象徴的なものだけでなく、様々な政策においても実質的な影響力を発揮しています。
5. 家族
- 夫:ダグラス・エムホフ 弁護士
- 子:夫と前妻との間に生まれた男の子ひとり・女の子ひとり
アメリカ国民の期待は?
アメリカ国民が政権に期待することは、主に経済に関する問題と社会的課題に集中しています。以下に、2024年の調査からの主な期待事項を紹介します。
経済の安定と成長
国民の多くは、経済の成長と安定に対する不安を抱いており、特にインフレが大きな懸念事項です。
2024年の調査によると、62%のアメリカ人がインフレを「非常に大きな問題」として挙げています。
また、37%がアメリカ経済の将来に対して楽観的ですが、多くは個人的な財政状況の方により楽観的な見方をしています。
健康保険と福祉の充実
医療費の高騰と保険のアクセスも重要な関心事です。
多くの国民が、医療制度の改革や医療の手頃な価格化を求めており、特に低所得層にとっては深刻な問題となっています。
移民政策
政治的立場によって異なりますが、特に共和党支持者の間では、違法移民や国境管理の強化が強く求められています。
民主党支持者にとっては、気候変動や銃規制も重要な課題です。
技術の進化と雇用
技術の進化、特に生成AI(GenAI)の影響が増大する中で、多くの人々が政府や企業にAIを効果的に活用することを期待しています。
例えば、40%以上のアメリカ人が、政府がAIを活用して公的サービスを改善することを求めています。
これらの課題は、アメリカ国民が現政権に対して強い関心を寄せている領域であり、特に経済や医療、移民、技術進化に関連する政策が期待されています。
「プロジェクト2025」とは
プロジェクト 2025 は、保守系シンクタンクのヘリテージ財団と 100 を超える保守系組織によって開発された政治的イニシアチブです。
ドナルド・トランプ氏のような共和党大統領が 2024 年の選挙で勝利した場合、米国連邦政府を大きく変えることを目的としています。
このプロジェクトは、包括的な政策アジェンダ、人事に関する推奨事項、保守的な変更を迅速に実施するための詳細な 180 日間のプレイブックを提供します。
プロジェクト 2025 の主な目標は次のとおりです。
- 連邦政府の再編:この計画では、大統領の下に行政権を統合し、数万人の連邦公務員を政治任命職員として再分類し、忠実な支持者と置き換えることを提案している。
- 経済・税制改革:税制の簡素化や法人税率の引き下げ、インフレ抑制のための連邦政府支出の削減など、減税を主張している。
- 社会政策: このプロジェクトは、移民法の厳格化、教育管理の分散化、より厳格な福祉受給資格要件の導入など、移民、教育、福祉などの分野における保守的な価値観を強化することを目指しています。
- 環境政策:気候変動規制を撤回し、化石燃料の生産を増やすことを目指しています。
プロジェクト2025は保守派の支持を得ているものの、連邦機関の独立性を低下させ、統治に対するより権威主義的なアプローチを促進するという点で、民主主義の原則を損なう可能性があるとして批判を浴びているようです。
コメント